葬儀・相続の全て

親族が亡くなった際の手続を全てご紹介します。

山田さんは、病院からの電話で「父が亡くなった。」ことを知りました。山田さんは、長男として葬式の手配等全ての準備をしなければなりません。

葬儀の手配と納骨

まず、親族が亡くなられた場合、かかりつけ医がいればその医師に連絡し、死亡診断書を作成してもらいます。相談する医師がいない場合には警察に相談することになります。

次に、葬儀社に葬式の打ち合わせをすることになります。
その後、お寺に電話して通夜、葬儀等の打ち合わせをすることなります。
葬式費用を用意する必要があり大きな出費となります。
葬式費用はぴんきりであり、できれば相見積もりをお勧めします。

役立つコラム

Q 父は一人暮らしでした。毎日父の様子を見に来ているヘルパーさんが父を発見してくれまして。まずやらなければならないことは何ですか。

Q 葬式の相場と、業者を選ぶコツを教えてください。

Q 通夜、葬儀、納骨等の流れを教えてください。

Q 父が無くりました。父の通夜、葬儀についてどの人に知らせるべきでしょうか。

Q 葬式費用等が必要です。父が亡くなったことを黙って、父の預金からお金を引き出してもよいのですか。

Q 葬式費用等は相続人が平等に負担するのですか。相続費用等の負担でもめないように  気を付けておくことはありますか。

期限のある相続等の手続

親族が亡くなられたときに、以下の手続は急ぎの手続きとなります。つまり、年金受給の停止、相続放棄、税務申告については、各手続の期限をチェックしなければなりません。

役立つコラム

Q 年金の手続、健康保険の手続、相続手続、税務手続について、急ぎの手続として何がありますか。その期限はいつですか。誰に相談したらいいですか。

年金、健康保険の手続

亡くなられた親族が年金をもらっていた場合には、直ちに年金事務所に連絡しなければなりません。連絡が遅れた場合にはややこしい返金手続が必要になったり、未支給年金を受け取れなくなったりするケースがあります。

亡くなられた親族が会社に勤めていれば会社に相談します。それ以外の場合には市役所に相談します。
年金、健康保険の手続としては、遺族年金、埋葬費等の手続が必要となります。

役立つコラム

Q 年金の手続、健康保険の手続、相続手続、税務手続について、急ぎの手続として何があ りますか。その期限はいつですか。誰に相談したらいいですか。

Q 年金受給の停止、未支給年金の請求について教えてください。

Q 相続放棄しても、未支給年金は請求できますか。

Q 埋葬費等の手続について教えてください。

Q 遺族年金の請求について教えてください。

各種支払いのストップ

例えば、亡くなられていた親族が借家に住んでいた場合、賃貸人に連絡して賃貸約契約を解除しなければなりません。その他、新聞や電気ガス、水道について順次契約を解除する必要があります。

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Q 亡くなった父は借家でアパートを借りていました。賃貸借契約の解除をしたのですが、その他に解約しなければならない契約についてはどうやってチェックしたらいいですか。

 お父さんが締結した契約の全てを網羅して開示する手続は残念ながらありません。そのため,お父さんの部屋を整理する際に,請求書のたぐいがないか,注意して探す必要があります。その他,お父さんの預貯金口座からの引き落としを確認し,解約しなければならない契約がないか確認しましょう。
解約しなければならない(死亡を報告しなければならない)契約としてよくあるのは,光熱費関係(電気,ガス,水道),通信関係(携帯電話,インターネット),保険などがあげられます。
私の携わった案件では,死亡案件ではありませんが,通帳から毎年少額の引き落としがあり,銀行に引き落としを問い合わせたところ,ポイントカードの年会費であることが判明したというものもあります(平岩)。

Q 父は死後1か月して発見されました。父が借りていた借家のオーナーから「異臭が取れない。」「物件の価値が下がった。」として損害賠償請求すると言われています。どうすればいいですか。

  オーナーは,不法行為に基づく損害賠償請求を考えていることでしょう。不法行為は,故意過失が要件となりますので,お父さんが①自殺した場合,②自然死の場合,③他殺の場合,で分けて考える必要があります。

お父さんが①自殺した場合,賃借人には,建物の引き渡しを受けてから返還するまでの間,善良な管理者の注意をもって建物を使用収益する義務を負いますので,お父さんには故意過失が認められ,不法行為責任を負うことになります(東京地裁平成27年9月28日判決)。この場合,原状回復費用や賃料減収分が損害として認められますが,物件の価値の低下そのものを損害とするのは消極的のようです。

お父さんが②自然死の場合,借家で死亡したとはいえ,人間の生活の本拠である以上,自然死が発生することは,当然に予想されることですので,お父さんに故意過失は認められず,不法行為責任を負わないことになります(東京地裁平成19年3月9日判決)。もっとも,ご家族が原因でお父さん死亡の発見が遅れた場合,お父さんでなくその家族が不法行為責任を負うことはあり得ますので,注意が必要です。

お父さんが③他殺の場合も,殺害した犯人が責任を負うことはあれ,お父さん自身に責任はないので,②自然死の場合と同様に考えられます。

さて,お父さんが不法行為責任を負う場合でも,お父さんは既に亡くなっていますので,その責任は,相続人が相続することになります。お父さんに見るべき資産がない場合,相続放棄により責任を免れることも考えるべきです。

なお,お父さんの賃貸借契約の保証人に相続人がなっている場合,その方は,お父さんの相続人としての責任と,保証人としての責任の双方を負いますので,相続放棄をしても保証人としての責任は免れませんので,注意が必要です(平岩)。

相続財産の捜索

例えば、亡くなられていた親族が一人暮らしをしていた場合に、どんな相続財産があるのか分からないケースが出てきます。まずは、相続財産を捜索する必要が出てきます。

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Q 父は被後見人であり、後見人であった弁護士の先生から、「相続人の代表者として書類を受け取りに来てほしい。」と言われています。どうすればいいですか。

 成年後見人は,被後見人の死亡まで財産管理をしていますので,被後見人すなわちお父さんの財産についてもっとも詳しいといえます。成年後見人の先生は,被後見人死亡により職務が終了すると,管理計算報告書という書類を作成します。管理計算報告書には,後見人就任から死亡までの被後見人の収支を記載しますので,それを見ればお父さんの残してくれた財産を網羅的に知ることができます。

 さて,相続人の代表者として書類を受け取りに来てほしい,と成年後見人であった弁護士の先生から連絡があったとのことですが,その書類には管理計算報告書も含まれていると考えられます。今後,お父さんの残してくれた財産について遺産分割等を行うのであれば,成年後見人作成の書類はお父さとんの残してくれた財産を知る上で必要になるので,受け取りに行かれた方が無難です。

 もっとも,他の相続人がいる場合,お父さんの残してくれた財産を相続人の代表者のみ先んじて知っている,という状況を作ってしまうと,他の相続人からお父さんの残してくれた財産を隠匿しているのでは,との誤解を生む可能性があります。そのため,受け取りに行かれる前に,他の相続人に対し,成年後見人であった弁護士から書類の受け取りを求められている,ということを連絡し,場合によっては一緒に受け取りに行かれた方が後々不要な紛争を避けるという意味で無難です。

 私の経験した案件では,成年後見人であった弁護士は,相続人全員を事務所に呼び寄せ,相続人全員に同じ書類を交付していました(平岩)。

Q 父は一人暮らしをしていて、父の財産について何があるか分かりません。どうやって探したらいいですか。

 故人の財産を把握するというのは,簡単なように見えて非常に難しい問題です。お父さんの遺品を整理する際に,財産にまつわる書類がないか確認をしましょう。

 裁判所の書式の中には,相続財産の大分類として,①不動産(土地建物),②国債,株式及び社債,③その他の遺産(信用金庫等への出資金,動産,現金等),④預貯金,⑤投資信託,⑥保険契約の解約返戻金,保険金,⑦貸金等の債権,をあげるものがあります。

 この分類を参考にお父さんの財産の見つけ方をいいますと,①不動産に関しては,固定資産税に関する書類から所有不動産を確認します。

 ②国債,株式及び社債に関しては,配当等が支払われているケースが多いので,そういった入金がないか確認します。

 ③その他の遺産については,網羅することは困難ですが,預貯金口座の出入金記録や遺品から推測することになります。

 ④預貯金に関しては,通帳を探し出すことはもちろん,生前どういった銀行を利用していたかを思い起こして確認することになります。

 ⑤投資信託については,取引先の銀行や証券会社に問い合わせる方法や,投資信託にまつわる書類がないか確認することになります。

 ⑥保険契約の解約返戻金,保険金については,多くの場合保険証書がありますので,保険証書から確認することになります。

 ⑦貸金等の債権については,金銭消費貸借契約書を探すことになりますが,無証文で貸し付けていた場合,確認することは困難ですので,生前,無証文貸付がないかどうかお父さんに聞いておく必要があります。もっとも,無証文貸付の場合,借り主は,お父さんの死亡をいいことに債務の存在を争うことがままあります。

 実務上,相続財産の範囲の確定はよく問題となります。お父さんと同居していた親族がいる場合,その親族はお父さんの相続財産について詳しいケースが多いのですが,同居していない親族は,お父さんの相続財産について詳しくありません。実務上,同居していない親族が同居していた親族に対し,相続財産の範囲の釈明を強く求めることがままあります。

 なにはともあれ,お父さんと生前,どういった財産があるのか,きちんと聞いておくことが無難です(平岩)。

借金の有無をチェック

亡くなった方が事業主や会社経営者である場合には、同人が保証人になっている等、家族も知らない借金が出てくる可能性があります。
亡くなられていた親族が多大な借金をしていた場合には、相続放棄をしなければその借金を引き受けることになります。相続放棄の期限はその方が亡くなったことを知った時(通常は相続人が死亡した時)から3か月です。

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Q 家族も知らない借金が出てくるケースとはどんな場合ですか。どうやってチェックしたらいいですか。

 家族には借金を知られたくない,という方は大勢おられますので,被相続人の死亡後に貸金業者から相続人に請求が来て気づくケースがままあります。特に,最近は,10年以上前の借入について,債権回収会社が貸金業者から債権を購入し請求してくるケースもあるので,被相続人の死亡時には想定もしていなかった借金が出てくるケースが増えています。

  被相続人に借金があるか心配であれば,CICなどの信用情報機関であれば,相続人の身分で被相続人の信用情報(借入の有無)を取得することができるので,これを取得すれば被相続人に金融機関からの借入があるか否かを確認することができます。

  被相続人の借金の有無については,外からはわからない部分が多いところですが,被相続人の生前の挙動,支出の程度などから借入が疑われる場合,信用情報を取り寄せたり,場合によっては相続放棄をすることが無難です(平岩)。

Q 相続放棄の期限はいつまでですか。その期間は延ばせるのですか。

 相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内」にする必要があります(民法915条1項本文)。この「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは,相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り,かつ,そのために自己が相続人となったことを覚知したときを意味します(大審院大正15年8月3日決定)。すなわち,被相続人の死亡を知っただけでなく,自らがその被相続人の相続人であることを自覚したときから開始します。この3ヶ月の期間のことを熟慮期間といいます。

 この「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」の要件については,被相続人に相続財産が全く存在しないと信ずるにつき相当な理由がある場合,相続財産の全部又は一部の存在を認識したとき又は通常これを認識し得べき時から起算するとされています(最高裁昭和59年4月27日判決)。

 また,熟慮期間については,複数の相続人がいる場合,それぞれの相続人ごとに各別に進行します(最高裁昭和51年7月1日判決)。

 3ヶ月,という熟慮期間に関しては,自らに相続が開始し,相続人であると理解しても,被相続人の財産や債務を全て把握した上で,熟慮期間内に相続の承認,限定承認,相続放棄を選択できないのであれば,利害関係人(相続人を含む)又は検察の請求によって,家庭裁判所において熟慮期間を伸長してもらうことができます(民法915条1項ただし書)。(平岩)

Q 限定承認という手続があると聞きましたが、あまり使われていないと聞いています。どうしてですか。

 限定承認とは,「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して,相続の承認をすること」(民法922条)をいいます。簡単にいいますと,相続によって得たプラスの財産の限度で被相続人の債務を負担し,プラスの財産を超えて被相続人の債務が存在した場合には,債務を負担する必要がない,という制度です。

 このように,限定承認は,とりあえず相続を承認するけれども,損を負わない限度でしか相続を承認しませんので,一見都合の良い制度のように思われます。

 しかしながら,平成29年度における限定承認の新受は,722件に対し,相続放棄の新受は,20万5909件と相続放棄に比して限定承認はあまり利用されていません。

 その理由として,手続が相続放棄と比べて面倒であることがあげられます。相続放棄の場合,共同相続人が複数存在しても,おのおの別個に相続放棄が可能ですが,限定承認の場合には,共同相続人が複数ある場合,共同相続人の全員が共同でする必要があります(民法923条)。そのため,共同相続人のうち,一人でも反対すれば,限定承認はできません。

 また,限定承認をする際には,相続財産の目録を作成して裁判所に提出する必要があり(民法924条),共同相続人が複数存在する場合,相続人の中から相続財産の管理人が選任されます(民法936条1項)。

 相続財産の管理人に選任されますと,限定承認後5日以内に,全ての相続債権者及び受遺者に対し,限定承認をしたこと及び一定の期間内(2ヶ月以上)に請求の申し出をするよう公告をしなければならず(民法927条1項),この公告の内容については,知れたる債権者には各別に催告する必要もあります(民法927条3項)。そして,相続財産の管理人は,請求してきた債権者に対し,相続財産を換価するなどして弁済する必要があります(民法929条~民法933条)。しかも,これら手続に違反すると,制裁まであります(民法934条)。

 このように,限定承認は,手続があまりにも煩雑である一方,限定承認の選択を考えなければならないほど,プラスの財産とマイナスの財産が近接している事案もそうないので,あまり利用されていないと考えられます。

 さらに,限定承認においては,税務上,必ずしも有利に扱われないこともあり,事案を総合的に判断した結果,相続放棄を選択するケースが多いように思われます(平岩)。

Q 父が死亡して、3年後に父の借金が見つかりました。もはや、相続放棄が出来ないのですか。

 相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内」にする必要があり(これを熟慮期間といいます。),「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは,被相続人の死亡を知っただけでなく,自らがその被相続人の相続人であることを自覚したときから開始します。

  お父さんの死亡の事実を知れば,その子である相談者さんはお父さんの相続人であることを自覚することが通常ですので,3年後にお父さんの借金が見つかった場合,熟慮期間は経過していますので,相続放棄ができないように思われます。

  もっとも,「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは,被相続人に相続財産が全く存在しないと信ずるにつき相当な理由がある場合,相続財産の全部又は一部の存在を認識したとき又は通常これを認識し得べき時から起算するとされています(前述最高裁昭和59年4月27日判決)。そのため,相談者さんがお父さんに相続財産が全く存在しないと信ずるにつき相当な理由があるといえれば,熟慮期間経過後でも相続放棄ができます。

  また,相続放棄の申述受理の手続においては,入念な審理が予定されていない反面,受理されても相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではないので,相続放棄の申述を却下すべきことが明らかな場合を除き,相続放棄の申述を受理すべきとされています(東京高裁平成22年8月10日決定)。相談者さんの場合,「相続財産が全く存在しないと信ずるにつき相当な理由」がある可能性があり,相続放棄の申述を却下すべきことが明らかとはいえないので,相続放棄の申述をすれば受理される可能性があります(受理という手続が相続放棄の効果を終局的に発生させるものではないことは注意が必要です)。

  3年後に父の借金が見つかった,といって相続放棄の手続をすることをあきらめるのではなく,一度専門家にご相談下さい。

  なお,私の経験したケースでは,熟慮期間経過後に相続人に請求をし,併せて相続放棄について債権者に問い合わせをするよう求める文書が依頼者に送られてきたというものがあります。このような債権者に問い合わせをしてしまうと,相続放棄ができないなどと丸め込められる可能性がありますので,注意して下さい(平岩)。

Q 相続放棄をしても、埋葬費等は請求できるのですか。未支給年金は請求できるのですか。遺族年金は請求できるのですか。

Q 相続放棄の相談は、私一人ではできないのでしょうか。相続人全員でした方がよいのでしょうか。

 相続放棄は,限定承認と異なり,共同相続人の全員が共同してするとの制限はありません。そのため,共同相続人がいても,一人で相続放棄はできますので,お一人で相談に来られても構いません。

  相談者さんが相続放棄をすると,「初めから相続人とならなかったものとみな」(民法939条)されるので,被相続人の相続においては,相談者さんは,いないものとして扱われることになります。

  相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内」にする必要があるところ(これを熟慮期間といいます。),熟慮期間については,相続人がそれぞれ自己のために相続の開始があったことを知ったときから各別に進行しますので(最高裁昭和51年7月1日判決),共同相続人の誰かが「自己のために相続の開始があったことを知った」としても,相談者さんの熟慮期間に影響はありません。

  もっとも,相続放棄を検討するケースでは,多くの場合,被相続人に債務が存在します。共同相続人の一人が無知のため,相続放棄をせず債務を承継する結果になる,というのも相続人間で心情的な紛争になるおそれもあるので,よく知った共同相続人にはお声がけしてあげることが親切でしょう(平岩)。

Q 相続放棄後にやってはいけないこと、法定単純承認となってしまう行為とは何ですか。例えば、形見分けで時計をもらうのもダメですか。

 形見分けで時計をもらう,との行為は,「相続財産の全部又は一部の処分」(民法921条1号),もしくは,「相続財産の一部を隠匿し,私にこれを費消し,又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき」(民法921条3号)に該当するとして,法定単純承認とみなされる可能性があります。

  もっとも,交換価値のないものや遺産の中でわずかな物を形見分けとしていただいただけでは法定単純承認事由には該当せず,ある程度経済的価値を有するものをいただいた場合に限られます。もっとも,どの程度の経済的価値を有するものをいただいた場合に法定単純承認になるか否かの判断は非常に微妙なところがあります。そのため,安易に形見分けだからといって故人の財産を取得することはやめておいた方が無難です。

  山口地裁徳山支部昭和40年5月13日判決によりますと,夫が死亡し,妻が夫の背広上下,冬オーバー,スプリングコート,時計,椅子などを持ち帰った事案において,相続財産全体に比してわずかな価値しかないとして,法定単純承認の成立を否定しました。

  一方,東京地裁平成12年3月21日判決においては,娘が死亡し,その母親が娘の洋服や家具を持ち帰った事案において,新品の洋服やその洋服の量が相当なものであったことから,持ち帰った遺品が一定の財産的価値を有し,形見分けの範囲を逸脱しているとして,法定単純承認の成立を認めています。

  なお,東京地裁平成12年3月21日判決においては,民法921条3号の趣旨は,「相続人による被相続人の債権者に対する背信的行為に関する民法上の一種の制裁」であるから,「隠匿」とは,「相続人が被相続人の債権者等にとって相続財産の全部又は一部について,その所在を不明にする行為」をいい,「相続人間で故人を偲ぶよすがとなる遺品を分配するいわゆる形見分けは含まれない」と判断しています。

  また,東京地裁平成12年3月21日判決においては,相続人の認識として,隠匿行為の結果,「被相続人の債権者等の利害関係人に損害を与えるおそれがあることを認識している必要があるが,必ずしも,被相続人の特定の債権者の債権回収を困難にするような意図,目的までも有している必要はない」と判断しています。

  形見分けで時計をもらう,という行為については,それが法定単純承認とみなされるか否か,時計そのものの価値,時計と相続財産全体の関係,債権者との関係等々様々な考慮要素が必要になります。安易に判断せず,専門家に相談しましょう(平岩)。

各種届出等

運転免許証の返還等様々な手続きが必要になります。手続の一覧を参考にして下さい。

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Q 亡くなった人の運転免許証の返還など、必要な手続きと、その届け出先を教えてください。

遺言書

遺言書がある場合には、遺言書を前提に相続財産を分けることになります。遺言書がない場合には、相続人がどように分けるか話し合うことになります。

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Q 父は生前遺言を書いたと言っていました。父が遺言を残しているかどうかはどうやって調べたらいいのですか。

Q 父の遺言書が出てきました。どうしたらいいですか。

Q 遺言があっても、遺言どおりに相続財産を分けなくてもよいことがあると聞きました。どのような場合に、遺言どおりに分けなくてよいのでしょうか。

Q 遺言には母に全ての財産を譲るとありました。しかし、私には遺留分という権利があると聞きました。母に全て譲ることに異存はないのですが、遺留分という制度を教えてください。

Q 遺言書が無効になるのはどのようなケースですか。

遺産分割協議

遺言書がない場合には、相続人がどのように遺産を分けるか話し合う筆王があります。

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Q 相続人とはどの範囲をいうのですか。相続人はどのように確認したらいいのですか。専門家に戸籍の取得(相続人の確認)を依頼するとすれば誰に依頼すればいいですか。

Q 法定相続情報証明制度という制度について教えてください。

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Q 仏壇、お墓はどうやって分けるのですか。

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Q 遺産分割協議によって、相続人に未成年者や、認知症の方がいるときにはどのような手続が必要ですか。

Q 遺産分割協議によって相続財産の分け方が決まりました。遺産分割協議書はどのように作成すればいいですか。専門家に作成を依頼するとすれば誰に依頼すればいいですか。

Q 遺産分割協議によって相続財産の分け方が決まりました。不動産、預金、株式、生命保険を分けるのに必要な手続きを教えてください。

Q 遺産分割協議が整わない場合にはどうしたらいいですか。

不動産登記

遺言書があればその内容通りに、遺産分割協議が成立すればその内容通りに不動産について相続登記をします。

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Q 不動産について相続登記しない選択をすることがあると聞きましたが、どのようなときにそのような選択をするのでしょうか。

税務申告

相続財産が一定以上であれば、相続税の申告が必要です。相続税の申告はその方が亡くなったことを知った時(通常は相続人が死亡した時)から10か月です。
なお、亡くなった方が個人事業主である等確定申告していた場合には、その方が亡くなったことを知った時(通常は相続人が死亡した時)から4か月以外に準確定申告が必要です。

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Q 相続税に詳しい税理士は実は少ないと聞きました。本当ですか。

葬儀・相続チェックシート

親族が亡くなった際の手続について、チェックシートを公開しております。参考にして下さい。